〝命〟吹き込み続け40年 能面師 阿部景雲さん
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能の舞台で主人公が着ける面。能面のような…という言葉があるくらい、一見表情がないように見える。
「そこが能面の魅力。表情があると長く見てもらえない。表情がないからこそ、微細な動きで主人公の心の動きをくみ取るのです」と話すのは、能面師、阿部景雲さん(鵜沼古市場町)=写真。能面を彫り続けて40年になる。
「最初は謡曲や小鼓を習っていたのですが、能の世界をより深く知るために、能面を彫り始めました。そのうち岐阜や名古屋で能面展に出展するようになり、自宅や文化センターで面打ちを教えるようになりました」。厚さ約7㌢のヒノキを、ノミやノコギリ、彫刻刀を使って彫っていく。完成までに半年から1年近くかかるという。
「物語を想像しながら彫ります。人間は年を取り、報われない思いを抱えているもの。嫉妬に狂って涙をためている面、般若、老人、さまざまな面がありますが、
同じ面を彫っても出来上がるとみんな違う顔になり、彫り手に似てきます。最後は自分と対話できる面になるか、目がこちらを見て向かい合ってくれるかが大事。一度彫った種類の面でも、次に全く同じものは彫れない」と話す。
間近で見ると、まるで阿部さんの命が吹き込まれているかのよう。それでいて老婆や鬼の恐ろしい形相の中に、どこか物悲しくユーモラスな雰囲気さえ醸し出す。
「能はこの世の中の縮図です。これからも能面の素晴らしさを広めていきたい」
面の制作や研究を行う岐阜面游会を主宰し、小学校の特別授業や各地で実演するなど、普及活動にも力を入れる。
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