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マツゴカキと、砂防・緑化事業

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公開日:2021/02/06

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明治政府は、税収安定のため地租改正を行い、宅地や農地ばかりでなく山林や原野まで土地所有者を判定して地券を発行し、地租負担を義務化して貨幣による納税を決め、所有者のない土地を官有地としました。

各務原市内の山地は、村の共有林にした地域もありましたが、蘇原持田町では大部分が個人の私有林になりました。ただし、プロパンガスが普及するまでは家庭の炊事用燃料にまきが欠かせなかったので、山を持っていない村民にも、他人の私有林に入って落ち葉をかき集め、持ち帰る権利(入会権)は認められていました。

多くの村民は、冬の農閑期になると朝早くから割り当てられた山に入り、熊手(くまで)で落ち葉、特に火持ちの良い松葉(方言でマツゴと言う)を好んでかき集めました。これを「マツゴカキ」と呼びました。熊手以外の道具を持ち込むこと、樹木や低雑木のしばを伐採すること、枯れ枝や切り株などを取ることは禁止されていました。

1年間に使う大量の燃料を集めるには、山裾だけでは足りませんので、頂上付近まで登らねばなりません。かき集めたマツゴは縄で結わえて束にして、担いで降ろし、大八車やリヤカーで家まで運ぶのは、学校から帰ってきた子どもたちの仕事でした。家では、マツゴは屋根裏に上げて保管し、大切に使いました。

日本人は昔から山や緑を大切してきたとよくよく言われますが、実はそうでもありません。山は酷使され痩せており、しばや低木さえ生えていないハゲ山も目立っていましたので、昭和30年半ばごろまで、小さな谷に丸石を積んで砂防ダムを築き、芝生や雑草・ススキ・ハンノキ・マツを植える砂防工事が、市内のほぼ全域の山々で行われました。

今目にする濃い緑の山は、この治山・治水事業の成果といえます。

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小さな谷に丸石を積んで築いた砂防ダム

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