「暖房手段は“火”と厚着」
NEWS
公開日:2026/01/28
現代の冬の暖房器具はエアコンや石油ストーブが多いのですが、昭和30年代前半までの暖房について、昭和時代を知る人に聞いてみました。
蘇原持田町の子どもが通っていた蘇原小学校(現蘇原第一小学校)には、冬になると各教室に、煙を教室外に排出するブリキの煙突を付けた「だるまストーブ」と呼ばれる石炭ストーブが設置されました。
いつの時代からストーブが入るようになったかは不明ですが、昭和20年代には、ストーブはなかったようです(昭和20年小学校入学の小川豊一さん談)。おそらく昭和30年代になってからストーブが入ったと思います。
低学年の時の記憶は全くありませんが、小学校4年生の時には、子どもたちに当番が当てられていたことを覚えています。ストーブ当番になると、少し早い時間に登校し、校舎の横に設置されていた石炭置き場から、バケツに石炭を入れて教室に運び、自宅から持参した古新聞とたき付け用の細く割ったまきをストーブに入れ、私の記憶では職員室から借りてきたマッチで点火し、まきに火が燃え移ると、石炭を入れて燃やしました。
放課後になると、当番はストーブ回りを清掃し、ストーブ内に溜まった石炭灰をかき出し、校庭に捨て、そこに火が残っていれば水をかけ、防火にも注意をし、翌朝ストーブが使えるようにしました。当番に当たると、子どもたちは責任をもって任務をこなしていました。
授業中の火の管理は、気温を見ながら、クラス担任が行ったと思います。ストーブに近い席は、熱で顔が真っ赤になるほど熱く、離れた席は、恩恵を被らずに寒いといった状況でしたので、席を一週間ごとにローテーションしていました。(小川高義さん談)
給食がなかった中学校では、各自が持ってきたお弁当を、弁当保温箱に入れて、ストーブの熱を使って温めました。弁当が温まると、ご飯と一緒に入っているたくあんや煮物などの臭いが漏れ出て、混ざり合った独特の臭いが教室に充満しました。(大堀等さん談)
授業間の休憩や昼の休み時間に、子どもたちが遊んでいて、教室内の煙突にぶつかり継ぎ目が外れると、石炭独特の臭い煙が教室内に充満することもありました。(小川輝良さん談)
家庭の日常の暖房には、炊事の時にかまど(くど)のまきを燃やしてできた“おき火”を入れた火鉢を使いました。
“手あぶり火鉢”という個人用の小さな物や、3~4人が使う少し大きな物があり、材質は金属製や木製のものもありましたが、多くは陶器製でした。
“おき火”は火力が弱く、すぐに燃え尽きてしまうので、余った“おき火”を“消し壺”に入れて作っておいた“消し炭(けしずみ)”を追加して、火力を保ちました。
樫やドングリなどの広葉樹の樹木を炭窯で焼いて作る“硬炭”は、使いやすく火持ちもよく、蘇原町内でも売っていましたが、高価だったので、日常ではあまり使いませんでした。
よく使ったのは、“炭団(たどん)”でした。炭の粉と水で軟らかく練った粘土や壁土を混ぜ、野球ボール大に丸めたものを日干しにしたもので、“消し炭”よりは火持ちが良く、扱いやすいので、家庭で作りました。
火鉢に手をかざして暖を取るのですが、火鉢にまたがり下半身を温める“股火鉢(またひばち)”は、「みっともない(見苦しい)からやめなさい」と親から注意を受けても、その温かさは気持ちが良く、兄弟で順番に火鉢にまたがったことを覚えています。(大堀等さん談)
冬になると居間の床板の一部を取り外して、“ドボンコ”と呼ぶ“掘りごたつ”を設置しました。ホームコタツと似ていますが、電気ではなく“炭火”のため、火が床板に燃え移らないように壁土で固めた床下の火鉢に“おき火”を入れて暖を取りました。その上に座卓を置き、布団をかけるので温かく、しかも正座の必要がないので、人気の暖房器具でしたが、その設備は大工仕事が必要なので、どこの家庭にもあったわけではありません。
アルミサッシ建具が普及する以前で、雨戸・木製ガラス戸・障子は立て付けが悪く、隙間風が入り、暖気は逃げて行きました。火鉢や“ドボンコ”程度の暖房では、冬の寒さを防ぐことはできませんでした。
暖房器具は補助的な役割で、長袖の下着・シャツ・セーター・上着を重ね着して、さらにその上に綿入りのベストのような“ちゃんちゃんこ”や、羽織のような“はんてん”や、バスローブのような“どてら”などを着て、厚着をすることで体の熱を逃がさないようにしていました。
冬は寒いのが当たり前で、温かい部屋で薄着で過ごすことなどは、考えることができない時代でした。
昔、西厳寺(蘇原持田町)の本堂で使っていた陶器製の火鉢。底の部分に土を入れ、その上に灰を入れ、そこに鉄製の五徳(ごとく)を埋め込み、その上にやかんを置いた
アーカイブ
- 2026年1月
- 2025年11月
- 2025年10月
- 2025年9月
- 2025年8月
- 2025年7月
- 2025年6月
- 2025年5月
- 2025年4月
- 2025年3月
- 2025年2月
- 2025年1月
- 2024年12月
- 2024年11月
- 2024年10月
- 2024年9月
- 2024年8月
- 2024年7月
- 2024年6月
- 2024年5月
- 2024年4月
- 2024年3月
- 2024年2月
- 2024年1月
- 2023年12月
- 2023年11月
- 2023年10月
- 2023年9月
- 2023年8月
- 2023年7月
- 2023年6月
- 2023年5月
- 2023年4月
- 2023年3月
- 2023年2月
- 2023年1月
- 2022年12月
- 2022年11月
- 2022年10月
- 2022年9月
- 2022年8月
- 2022年7月
- 2022年6月
- 2022年5月
- 2022年4月
- 2022年3月
- 2022年2月
- 2022年1月
- 2021年12月
- 2021年11月
- 2021年10月
- 2021年9月
- 2021年8月
- 2021年7月
- 2021年6月
- 2021年5月
- 2021年4月
- 2021年3月
- 2021年2月
- 2021年1月
- 2020年12月
- 2020年11月
- 2020年10月
- 2020年9月
- 2020年8月
- 2020年7月
- 2020年6月
- 2020年5月
- 2020年4月
- 2020年2月
- 2020年1月
- 2019年12月
- 2019年11月
- 2019年10月
- 2019年9月
- 2019年8月
- 2019年7月
- 2019年6月





