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家の乳酸飲料は薄味

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公開日:2024/07/30

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暑くなると子どもたちには、飲み物は欠かせません。現代ならば、果汁入りのオレンジやリンゴジュース、炭酸飲料、ペットボトルに入ったお茶類など、種類も多く、簡単に手に入ります。

昔は、種類も少なく、入手も困難でした。昭和30年代の主に夏の“飲み物事情”を聞いてみました。

家ではよくお茶を飲みました。生垣にはお茶の木が植えてあり、5月に新芽が10~15㌢伸びると、手で茶摘みを行いました。茶芽はホウロクと呼ぶ大型の鉄鍋に入れて、かまどで熱を加え、蒸しました。しおれてくるとむしろに広げ、手でよく揉んでからさらに広げて乾燥させると番茶の完成です。

湿気を帯びないように1斗缶に入れ保存し、毎日茶釜や、やかんで煮出して飲みました。夏の暑いときは、やかんを汲んだ井戸水に浸け冷やして飲みました。

冷蔵庫のない時代ですから、15度程度に冷やしたお茶は冷たく、のどを潤しました。

梅の実を砂糖で漬けた梅シロップは、わが家では“梅酢(うめず)”と呼んでいました。梅の酸味と砂糖の甘みが混ざり、爽やかで口当たりが良くて大変おいしく、水で割ったものを飲みました。ただ、梅の実は塩漬けにして干なければなりませんし、砂糖は高価でしたから、梅シロップを作る量は少なく、しかもそれは自家製民間胃腸薬でしたから、大切な品で、たまにしか飲むことはできませんでした。体調不良の時に、母が作ってくれた梅酢を飲めば、必ず元気になりました。

緑の松の葉を摘み取り、一升瓶に詰め、砂糖と水を入れて日なたに置くと、発酵し、気泡ができ、ほのかに松の香りのする甘い弱炭酸ジュースが完成します。

祖母が作ってくれたものは、甘く、松の良い香りでおいしかった記憶がありました。それを思い出し、数年前に自分で松葉を摘み、瓶に入れて作ってみましたが、甘みが足りなくておいしくなく、全く飲めませんでした。

店で売っているジュースは、サイダーとラムネでした。蘇原持田町には商店はなく、小遣いもない子どもが買うことはまれで、飲めるのは何か特別な時だけでした。

ラムネは、ガラス玉で密閉し、炭酸を閉じ込めています。ガラス玉を瓶内に押し出し、密閉を解くのですが、うまく飲まないとガラス玉が栓になり、中の飲料が出てきません。子どもには、コツをつかむことは、簡単ではありませんでした。

「瓶は振ってはいけないと聞いてはいましたが、不注意で瓶を動かしてしまい、栓を抜いた時に、勢いよく泡と一緒に炭酸水が飛び出し、半分ぐらいがこぼれてしまいました。惜しくて、残念で、悔しかったことを覚えています」(小川高義さん談)

サイダーは、ビール中瓶程度の、薄青色のガラス瓶で売られていました。コップに注ぐと、炭酸気泡がはじけ、いかにも“夏の飲み物”でした。めったに飲めない炭酸飲料ですから、子どもには刺激がきつく、必ずゲップが出てきました。

乳酸飲料(カルピス)は戦前から販売されていますが、一般庶民がそれを口にするようになったのは、おそらく昭和30年代の事と想像します。水玉模様の包装紙に包まれたビール中瓶程度の大きさの茶色の瓶に入っていました。その思い出を蘇原申子町の大堀等さんに聞きました。

「たしか昭和35年ごろであったと記憶します。蘇原大島町の兄の友人の家に一緒に遊びに行き、そこで乳酸飲料(カルピス)をごちそうになりました。大変うれしかったのですが、驚いたことは、味が濃くてとてもおいしく、家のものとは異なっていたことです。家で飲む味が本来の味と思っていましたが、実は大変薄く希釈されているものだと初めて知りました。貴重な品を長く楽しむために、親が工夫していたのだと思います」

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生垣に仕立てたお茶の木。今はお茶を作ることはなくなってしまったので、木は大きく伸びている

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