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ポンハゼ屋さんがやってきた!

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公開日:2024/04/20

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テレビが普及するまでは、自転車に載せた紙芝居を読み聞かせながらお菓子を売る、紙芝居屋さんが子どもたちを集めていました。

しかし、それは都市部、蘇原なら旭町などの住宅地域のことで、蘇原地区でも最も奥まった所にあり、権現山のすそ野に位置する蘇原持田町に、紙芝居屋さんは全く来ませんでした。

今も蘇原持田町に住む小川輝良さんの話です。

「昭和30年ごろ、小学校3~4年生の事だと記憶しています。蘇原旭町の友だちの所に遊びに行った時に、初めて紙芝居屋さんを見ました。“紙芝居を見るには水飴を買わねばならないよ。買った者だけしか見ることはできないよ”と言われました。その時、全くお金を持っていなかったので、水飴を買うことはできませんでした。仕方なく少し離れた所から眺めていました。学校で先生が読んでくれるのとは違い、声色(こわいろ)を使った臨場感のあるプロの紙芝居は、大変面白かったことを覚えています」

電気冷蔵庫が普及する以前は、家で夏に氷を口にすることは衝撃的なことでした。「今から65年以上前のことです。友人の家に遊びに行ったときに、買ったばかりの電気冷蔵庫の製氷器で作った氷を一かけらもらって食べたことを、今でも覚えています」(小川輝良談)

そんな時代の夏休みの暑い日の午後のことです。自転車にアイスボックスを載せ、チリン、チリンとベルを鳴らしながら、蘇原持田町にもアイスキャンデー売りが来ました。

ベル音を聞くと、子どもたちはアイスが欲しくて、欲しくて、たまりません。当時は小遣いを持っている子は少なく、お祭りや遠足などの特別な日に、その都度親からもらうのが一般的でした。アイス売りの音がしても、親が家にいて、小遣いをもらえた時だけ買いに走るのです。

アイスキャンデー屋さんが通る道路沿いの家は良いのですが、少し奥に入った所は、合図のベル音は風向きによって聞こえたり、聞こえなかったり。気づいて小銭を持って走っても、キャンデー屋さんは遠くに移動した後。追いかけるわけにもいかず、諦めざるを得ないことも、時にはありました。

実演販売をするポンハゼ屋さんも来ました。ポンハゼはポップコーンに似ています。加熱した米を急激な圧力変化で爆裂させると、体積は10倍にも増える、フカフカの米菓子です。

ポンハゼ屋さんは、製造釜やまきを自転車に付けたリヤカーに載せて、チリンチリンとベルを鳴らしながら村中を回り、近くに来ていることを知らせます。今ならマイクを使って大きな音で宣伝放送をするのですが、自転車では電気も放送機器もないのでベルで広報しました。

公民館前の広場や、辻の道路脇に道具を下ろして準備をします。熱源として、未舗装の道路上でまきを燃やしていました。

原料の3~5合の白米、燃料のまき、加工費のお金を持って、親や年長の兄弟に連れられて子どもたちが集まります。

温度の上がってきたポンハゼ釜に米を入れて、ふたをボルトでしっかり固定してから、火の上に乗せ、グルグル回しながら温度を上げ、圧力を高めて行きます。圧力計が規定の高さまで上がると、釜を火から下ろし、金網で作った大きな籠をかぶせて、ボルトで固定していたふたを金づちで叩いて外すと、爆発音と一緒に釜の中から籠にポンハゼが飛び出してきます。水飴やおそらくサッカリンという人工甘味料を水に溶いたシロップをかけると、甘いお菓子の完成です。

今ならビニール大袋に入れて持ち帰るのでしょうが、それがない時代だったので、化学肥料の入っていた袋を再利用した布袋に入れて持ち帰り、家では湿気を防ぐために、鉄製の一斗缶に保存していました。

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化学肥料の布袋。ナイロンやビニール袋はなかったので、ポンハゼを持ち帰るのに使った。米・麦・ソバ・豆などの農作物の保存、運搬袋や、裁断縫製してカーテンや下着にもリフォームした

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