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甘味料になったサツマイモ

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公開日:2021/10/13

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蘇原柿沢町の小川三郎さん夫妻から、サツマイモの話を聞きました。

サツマイモは戦中~戦後の食糧難の時代には貴重な主食でしたが、それだけではありません。

敗戦で植民地を失い、砂糖の輸入が途絶えた昭和20~30年代は、サツマイモデンプンは主要な甘味料でしたので、各務原台地にはサツマイモ畑が広がっていました。

デンプン用には、大きなイモができる“オキナワ”という品種が栽培されました。この品種は、甘味が少なく、美味しくないので食用には向きません。

秋に収穫したイモは、竹やぶに掘った縦横1㍍、深さ1.5㍍程度の穴室 (アナムロ・サツマイモやサトイモなどを保存するための穴)に入れ、ワラや落ち葉をのせた上をムシロで覆い、寒さでイモが腐らないように注意しながら保存しました。※サツマイモ・サトイモ・自然薯類は寒さに弱く、凍らなくても、温度が低くなると、腐り始めます。

初春になると、日当たりの良い前庭にワラを敷き、刻んだワラ・落ち葉・鶏糞などの有機物を混ぜた土を敷き詰め、竹や木の柵をワラで囲った苗床を作ります。

春彼岸の頃に、有機物の発酵が始まり、ほんのり暖かくなった床に保存していた親イモを並べます。天気の良い日には太陽をあて、熱をため、夕方になるとムシロなどをかけて、保温につとめます。ナイロンやビニールがない時代ですから、こまめな温度管理は欠かせません。

5~6月ごろになり、親イモに芽が出てツルが伸び、葉っぱが出ると、苗にするため、それを安全カミソリやハサミで切り取ります。イモツルからはネチャネチャしたアクのある樹液が出て、カミソリが切れなくなりますので、アクを拭き取りながら作業を進めます。

サツマイモの苗に根はありません。麦畑の麦の間に、イモ苗を挿し木するのですが、生命力は強いので根付き、成長し、ツルを伸ばし、夏にはイモツルが畑を覆います。

肥料は、購入したワラ灰を使いました。

秋になると収穫です。機械はありませんから、お彼岸のころから始めて1カ月以上かかります。

畑を覆っているサツマイモのツルを切り取り、“備中クワ”でイモを傷つけないように掘り出し、集め、“タデ”(ワラで編んだムシロをつなぎ合わせた大きなワラカゴ)に入れて、畑から運び出します。タデ1つで30㌕以上ありました。

切り取ったイモツルは、畑に埋め込み、肥料にします。

親戚の人がオート三輪トラックを持っていたので、頼んでデンプン工場まで運んでもらいました。2人掛かりでイモタデを荷台に引き上げ、2段に積む作業は、極めて重労働でした。

昭和30年頃、蘇原地区には5軒のデンプン工場がありました。集荷されたイモは、水洗いして泥を落とし、機械ですりつぶし、デンプンを取り出して精製して粉にし、アメ屋に出荷しました。

デンプンを取った残りカスは、河川に垂れ流しですから、川はヘドロでドロドロに汚れ、悪臭を放っていました。

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今では少なくなったサツマイモ畑(令和3年10月)

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