昭和回顧録
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公開日:2021/01/15
河川水の簡易水道
正福寺川は、東山ニュータウンの北西の秋葉神社を上った権現山(北山)東の洞を水源地とし、持田町内を縦貫して各務原高校の横を流れ、新境川に合流しています。
上水道が設置されるまでは、蘇原持田町の多くの家庭では、この川の水を生活用水に使っていました。
野菜などの食材、茶碗・皿・箸などの食器、鍋釜を洗うときは、この水を使いました。衣服の洗濯は、たらいで手洗いした後、川水ですすぎました。赤ちゃんのおしめなどは、下流の決められた場所で洗いました。
食器洗剤は使っていませんし、水道もシャワーも、電気洗濯機も水洗便所も無い時代です。生活用水の使用量は極めて少なく、生活汚水が河川を汚すことは、ほとんどありませんでした。
自然の水を使った生活は牧歌的でしたが、大腸菌やその他の病原菌の汚染は心配で、清潔とは言えません。冬の川水は冷たく身にしみ、雨や雪の日の水仕事は辛いものでした。
各家庭には井戸があり、飲料水や調理には井戸水を使っていました。ただ、その井戸は屋外にあり、つるべや手押しポンプで汲み上げた水を、炊事場や風呂場に運ぶのは女性や子どもの仕事で、大変な重労働でした。
昭和30年ごろには、電動ポンプを取り付け、家庭用の水道を設置する家もありました。
昭和35年に、持田町に簡易水道が敷設されました。水源は、前出の正福寺川の一番上流の谷川で、湧き出す水を集めて取水し、砂を積み重ねた浄水槽を通して浄化し、コンクリート製のエタニット水道管で、持田町全域と蘇原東門町に給水しました。
維持管理は蘇原町(後には各務原市)が行いましたが、雨による土石や木の葉で取水口が詰まらないように、浄水槽に水藻がはびこり浄化能力が落ちないように、日常的な清掃・点検・維持管理は、持田町の自治会長があたりました。
エタニット水道管は、地中の浅いところに埋められており、大きな車が通ると、もろく破損することもありました。大掃除や正月の準備で大量の水を使う年末には、決まって断水する地区もあり、トラブルにも自治会長が対応せねばならず、気苦労が絶えませんでした。
この簡易水道は、昭和52年4月に各務原市の上水道に切り替えられ、その役割を終えました。
簡易水道の浄水槽跡
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