岐阜市西/本巣

岐阜市北東/山県

岐阜市中南

各務原

羽島

条件を選んで店舗・施設・企業を検索

住民が水路を改修

NEWS

公開日:2022/03/15

ニュースイメージ0

今は地名が各務原市蘇原清住町に変わっていますが、以前は蘇原持田町に「横枕(よこまくら)」という小字の地域がありました。

この地域には、持田池からの灌漑(かんがい)用水が流れる曲がりくねった谷川があり、豪雨になると洪水や堤防決壊などの被害が出ていましたので、昭和28年度の岐阜県の土地改良事業として、稲葉郡蘇原町が水路改修工事を行いました。

持田町自治会文書にその記録が残っていますので紹介します。

昭和28年7月に武藤嘉門岐阜県知事宛てに、水野善吾蘇原町長などの連名で小川喜一持田区長押印の陳情書が出され、岐阜県の土地改良事業に指定されました。

水路工事期間は、昭和29年2月1日から3月31日まで。高さ1m、幅2,4m、長さ270m余りの水路工事を、総工費18万5000円で建設しています。現代でも岐阜県から補助金を得て各務原市が水路工事をすることはあることですが、今とは大きく異なる点がいくつかあります。

まず注目されるのは、この工事を請負施工したのが、蘇原持田区(今の各務原市蘇原持田町自治会)であったことです。現代ならば、土建業者が入札をし、落札企業が各務原市の仕様に基づいて工事を完成させますが、当時、蘇原町には土建業者がなかったのでしょう。

工事代表責任者となった持田区長の小川喜一さんは、蘇原町長と委託契約書を交わし、工事を計画・施工・管理・完成させています。

持田区で、コンクリート管、石、砂、セメント、コンクリート用型枠、木材、縄、土手用の芝生等を各務原市内の商店や業者などに発注・購入し、工事資材を準備しています。

水路用地195坪は、7人の所有者から2万6138円で購入しています。

土木作業には持田町住民があたっています。朝7時30分から夕方5時30分まで、作業時間が7時間40分、休憩時間が2時間20分となっており、延べ230人以上の持田町民が、1日350円の日当で働き、総額8万1130円の賃金が支払われています。これらの労務管理も持田区長が行っています。

公共事業ですから、工事着工届、工事竣工届、工事代金請求、工事費会計報告なども、蘇原町長宛てに提出しています。

2つ目の注目点は、公共事業にかかわらず、工事費の全額が蘇原町から支出されるのではなく、総工費18万5000余円のうち、約75㌫の13万8000余円の補助金しか支給されていないことです。

不足分は持田区費(自治会費)と、全持田町民57人から1人300円ずつ総額1万7100円の寄付金で賄ったようです。現代ならば、水路工事のために町民全員から寄付金を集めることは考えられません。

さらに、水路工事により水田の灌漑(かんがい)の恩恵を受ける住民は、水田1反あたり350円を寄付金として集め、蘇原町に総額5万5500円の寄付金を出しています。

今でも灌漑(かんがい)用水に対しては受益者負担金があったり、上下水道には分担金や使用料があったりしますが、寄付金はありません。

現代なら全て行政が行う仕事を、自治会や住民が支え行っていたことは、持田町だけの特色ではなく、全ての地域がそうであったに違いありません。

ニュースイメージ1

昔は蘇原持田町の小字“横枕”には水田が広がっていたが、今は蘇原清住町という地名になり住宅団地となっている

中日新聞の購読

中日新聞の購読

日本経済新聞の購読

日本経済新聞の購読

中日新聞販売店一覧

中日新聞販売店一覧

お店・施設・企業・イベント情報を掲載

お店・施設・企業・イベント情報を掲載

Chunichi Gifoo!

中日新聞配達スタッフ募集

Chunichi Gifoo!