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スリムな三角柱の“火の見櫓”

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公開日:2022/02/16

ニュースイメージ0

各務原市蘇原持田町の公民館の隣に、高さ約10㍍、最上部の三角屋根の下に半鐘をつるした、鉄製の“火の見櫓”が建っています。

町民に半鐘で火事を知らせたり、使い終わった消防ホースを乾かしたりするために昭和30(1955)年に建設されたもので、今も使われています。

鉄製の櫓の多くは四角柱ですが、これは底部で一辺125㌢の三角柱ですから、柱は3本しかありません。しかも、柱や梁(はり)を作るL型鉄アングルは幅5㌢しかありませんので、2階の屋根より高い櫓は、見るからにきゃしゃでスリム。上の方に上ると、フワフワ揺れて恐怖を感じるそうです。

この“火の見櫓”の建設のいきさつが、持田町自治会文書に残っていますので紹介します。

昭和30年9月25日(日)の持田町の捨て役(町内の清掃勤労奉仕)の会食時に、持田町自治消防団から「木製柱の“火の見櫓”は老朽化が進み危険である」との報告があり、町民で協議の結果、新しい“火の見櫓”を建設することを決定しました。

まだ自家用車のない時代ですから、町内に1台しかなかった製瓦工場のオート三輪を頼み、自治会と消防団の役員の数人が乗り込み、9月27日から各務原市内、岐阜市内、加茂郡坂祝町などに“火の見櫓”の見学・調査に出かけました。

コンクリート製の電柱で、という案も出されましたが、鉄アングル製の三角柱式にすれば安価にできることが分かり、10月17日に八剣村印食(現岐南町)の川出鉄工所に3万円で発注しました。

現代ならば、設計・製造・施工までを関連企業が一括して請け負いますが、この時代に地元にはそのような会社がありませんでしたので、町民が知恵と力とお金を出し合って、全て自分たちで行いました。

基礎工事用の砂などの石材は土建会社に、セメント7袋は建材店に注文し、10月26日には櫓土台(一辺155㌢の三角形)の基礎コンクリート工事を行いました。

11月3日に自治会役員と消防団員が集まり、古い櫓を撤去しました。午前10時には自動車に載せられて新しい櫓が到着し、鉄工会社からも数人の職人が集まり“火の見櫓”の建立が進められました。

クレーンのない時代に、10㍍もの鉄塔をどのように建てたかは、残念ながら関係者がいなくなった今では分かりません。

建設費は、川出鉄工所の櫓製造費3万円、櫓の運搬費1500円、現場での建設費1500円、セメント7袋1590円など合計4万195円。その費用のうち3万1100円(77㌫)は村民59人からの寄付金で賄われました。

ニュースイメージ1

アングルを三角柱状に組んだ持田町の“火の見櫓”。

上部の方が少し細くなり、外側にはしごが付けられている

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